ボスマネジメントとは、“上司とのかかわりを能動的かつ戦略的に行う手法”のことです。
一般的に、上司は部下に対して評価や指揮命令などの権限を持っているため、
部下は上司の指示やスタンスに“受身的”にならざるを得ません。
また、生産性向上の要請から、部下一人がこなすべき仕事量は増えているため、
上司とのかかわりを“戦略的”に行うほどの時間的、心理的な余裕がないのが
現実です。
まさにこの“2つの常識”を疑ってかかることが、ボスマネジメントの出発点となります。
「どうすれば“能動的かつ戦略的に”自分の上司とかかわることができるか?」
この問いを自分の中に内在化させることからボスマネジメントは始まります。
一方で、ボスマネジメントについてこんな思いを抱く人もいます。
「上ばかり意識するのは、社内政治ばかりやっている卑怯者のすることじゃないか?」
これは大きな誤解です。
ボスマネジメントの目的は、社内政治をうまく行うためでも、自分の評価を上げる
ためでもありません。
その本来の目的は、“成果”を上げることです。
ここで言う成果とは、いわゆる“成果主義人事制度”などで用いられる個人の
仕事上の成果や業績に限定されません。
P.F.ドラッカーは、その著書で次のような趣旨のことを言っています。
組織の成果とは、組織の使命を果たすことで社会に貢献することである。
組織で働く人の成果とは、組織が使命を果たすために必要な貢献のことである。
つまり、組織で働く多くのビジネスパーソンにとって、ボスをマネジメントすることは
利己的なものどころか、「仕事を通じて社会に貢献する」ための手段だと言えるのです。
次回は、「組織におけるボスマネジメントの効果」です。
ご期待ください。