2012/01/25

相手の立場に立つ

仕事をする中で、社内外の関係者から協力を得るシーン
というのは多いと思います。

不足している知識や技術をサポートしてもらう、
違う立場の人の意見を聞いてより意味のある企画を作る、
社外の協賛を仰ぐ・・等々、

スムーズに仕事を進めていく上で
うまく周囲の協力を得ることができる、
というのは非常に重要と言えるでしょう。


周囲に協力を求める時に大事になるのは、
「相手の立場」に立つということです。


ごく当たり前のようにも聞こえますが、
日常的にそれを実行し続けるというのは
意識しないと中々難しいのではないでしょうか。


例えば、こんなケースがあります。


総務部に所属するAさん。

現在の課題を解決した新しい福利厚生の仕組を導入しようと
色々と検討をしています。

検討を進める中、現状把握が足りていないと感じたため、
社内数名にヒアリングを行おうと考えました。

そこで、こんなメールをヒアリングしたい対象者に送りました。


「Bさん

 お疲れさまです。
 
 今回Bさんに、福利厚生制度に関するヒアリングを
 したいと思ってメールしました。

 現在の制度について感じること、改善して欲しい点など、
 ざっくばらんな意見が聴きたいと思っていますので、
 ご協力どうぞよろしくお願いします。

 日時については、●日●時、●日●時のいずれか都合の
 いい時を返信ください。

 どうぞよろしくお願いします。」


このメールをもらって、BさんはAさんに
快く協力をしたいと思うでしょうか?


このメールで問題となるのは、
Bさんにとって”ヒアリングされるメリット”を考えるヒント
となる記述が不足しているということです。


Aさんがこのヒアリングが有意義だといかに思っていても、
Bさん自身が協力するメリットを感じられなければ
快く協力しようという気持ちにはなりにくいものです。


仮にメリットがなかったとしたら、Aさんはそれを
明示した上で、それでも自分のためにぜひ時間を
取ってもらえないか、とお願いする必要があるでしょう。


「現状の課題を改善した福利厚生の仕組を作るため、
 ぜひ現場の声を聴きたいと思っています。」

「ヒアリング内容がそのまま反映できるかはわかりませんが、
 一つの貴重な意見としてぜひいただけないでしょうか。」


そのようなことをメールに書き添えておけば、
Bさんも会社を良くするため、自分の職場環境を良くするために
協力しよう、という気持ちにもなるでしょう。



自分の仕事に集中すると相手の立場に立って考える、
ということが難しくなりがちですが、
仕事は基本的に個人と個人の関係で成り立っています。


日頃から、相手の立場に立って考えられているか、
ということを意識してみてはいかがでしょうか。



【参考文献】
※『ロジカル・シンキングの道具箱』山崎将志著(日本実業出版社)

2012/01/11

上司を知る

ボスマネジメントとは、上司との人間関係に着目した
“上司とのかかわりを能動的かつ戦略的に行う手法”のことです。

ボスマネジメントを実践する上で、相手である「上司を知る」ことは
その出発点とも言えます。

ここで言う「上司を知る」とは、効果的なボスマネジメントの実践に必要な
「上司情報」を把握するということです。

では、そのような「上司情報」にはどんなものがあるでしょうか。

1つ目が“上司を取り巻く構造”です。

どんな上司もなんらかの組織に所属し、位置づけと役割を持っています。
組織における上司の位置づけと役割は、上司だけを見ていてもわかりません。
上司を取り巻くステークホルダーとの関係を構造的に把握する必要があるのです。

ここでは、より分かりやすくするために、3つのベクトルに分けて考えてみます。

【1.↑上ベクトルの役割】
これは、上司の「上司」、お客様に対する役割です。
【2.→横ベクトルの役割】
これは、連携する他部署、業務上の取引先に対する役割です。
【3.↓下ベクトルの役割】
これは、部下に対する役割です。

このように、上司は組織内で3つのベクトルの役割を担っています。

この3つのベクトルについて万遍なく目を向け、
上司はどの程度役割を果たしているのか考えることが
“上司を取り巻く構造”を知ることに繋がります。

知るべき「上司情報」の2つ目が、
“上司の仕事環境”です。

上司が組織上持たされている中期目標や短期目標、
現実の仕事量やどんなことにプレッシャーを感じているのか、
などといった上司自身もコントロールすることの難しい外部環境のことです。

知るべき「上司情報」に3つ目が、“上司の特性”です。

ワークスタイル、ライフスタイルといった
長い年月をかけて形成された上司自身の習慣やくせのことで、
本人自身も自分がそのようなスタイルを持っていることを
認識していないケースがあります。

以上3つが効果的なボスマネジメントの実践に必要な「上司情報」ですが、
具体的には日常の中で、どのように上司を知ればよいのでしょうか。

たとえば、上司に関する質問リストを持つというやり方があります。

簡単にその方法を試してみましょう。
まず、あなたの上司になりきって、以下のような質問に答えてみてください。

□ 私の趣味、休日によくすることは?
□ 私の仕事における強み、得意としていることは?
□ 私がやりたくても中々手がつけられていない仕事は?

さて、3つのうちいずれも明確に答えられたでしょうか。

上司を知っているつもりになっているというケースは意外と多いものです。
あなた自身がそうであるように、上司も時間の経過とともに変化する存在です。

上記のような質問リストを自分で作成し、3か月に1回程度の頻度で
見直すということをしてみてはいかがでしょうか。

【参考文献】
※『パワーと影響力』 ジョン.P.コッター著 (ダイヤモンド社)