ボスマネジメントとは、上司との人間関係に着目した
“上司とのかかわりを能動的かつ戦略的に行う手法”のことです。
ボスマネジメントを実践する上で、相手である「上司を知る」ことは
その出発点とも言えます。
ここで言う「上司を知る」とは、効果的なボスマネジメントの実践に必要な
「上司情報」を把握するということです。
では、そのような「上司情報」にはどんなものがあるでしょうか。
1つ目が“上司を取り巻く構造”です。
どんな上司もなんらかの組織に所属し、位置づけと役割を持っています。
組織における上司の位置づけと役割は、上司だけを見ていてもわかりません。
上司を取り巻くステークホルダーとの関係を構造的に把握する必要があるのです。
ここでは、より分かりやすくするために、3つのベクトルに分けて考えてみます。
【1.↑上ベクトルの役割】
これは、上司の「上司」、お客様に対する役割です。
【2.→横ベクトルの役割】
これは、連携する他部署、業務上の取引先に対する役割です。
【3.↓下ベクトルの役割】
これは、部下に対する役割です。
このように、上司は組織内で3つのベクトルの役割を担っています。
この3つのベクトルについて万遍なく目を向け、
上司はどの程度役割を果たしているのか考えることが
“上司を取り巻く構造”を知ることに繋がります。
知るべき「上司情報」の2つ目が、
“上司の仕事環境”です。
上司が組織上持たされている中期目標や短期目標、
現実の仕事量やどんなことにプレッシャーを感じているのか、
などといった上司自身もコントロールすることの難しい外部環境のことです。
知るべき「上司情報」に3つ目が、“上司の特性”です。
ワークスタイル、ライフスタイルといった
長い年月をかけて形成された上司自身の習慣やくせのことで、
本人自身も自分がそのようなスタイルを持っていることを
認識していないケースがあります。
以上3つが効果的なボスマネジメントの実践に必要な「上司情報」ですが、
具体的には日常の中で、どのように上司を知ればよいのでしょうか。
たとえば、上司に関する質問リストを持つというやり方があります。
簡単にその方法を試してみましょう。
まず、あなたの上司になりきって、以下のような質問に答えてみてください。
□ 私の趣味、休日によくすることは?
□ 私の仕事における強み、得意としていることは?
□ 私がやりたくても中々手がつけられていない仕事は?
さて、3つのうちいずれも明確に答えられたでしょうか。
上司を知っているつもりになっているというケースは意外と多いものです。
あなた自身がそうであるように、上司も時間の経過とともに変化する存在です。
上記のような質問リストを自分で作成し、3か月に1回程度の頻度で
見直すということをしてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
※『パワーと影響力』 ジョン.P.コッター著 (ダイヤモンド社)